いつもと変わらないことが・・・ from Hioki-san

 

集落のはずれでアズマヒキガエルに出会った

冬ごもりの場所へとゆっくりの急ぎ足

冬が来る 冬が来る

気はせくけれど 歩みははかどらず

車に轢かれるよ

 

雑木林を辿るハイキングコースを彩るのは

いつもと変わらないヤブミョウガの黒光りの実

ムラサキシキブのはんなりと紫の果実

 

林の縁のクロヤツシロランのすらりと背高の果実が立っている

小さくて黒っぽい花の時期に見つけるのは難しいが

その 埃のような細かな種子を 

空気の流れにゆだねるために 

今はう〜んと背伸びしたんだね

林や竹やぶのはざまで 年ごとに 数を増やそうと 

その努力を欠かさない

 

雑木林の縁で今年もけなげに咲くリュウノウギク

秋も深まった・・・

八国見山の雑木林は今も健在だ

50年以上たったと思われるこのクヌギのどっしりと見事なこと!

雑木林は伐っては育ての繰り返し

その繰り返しで人間の役に立ってもらうものだったが

歳月を刻んだこんな大木も 実にいいもんだ

 

 

年ごとに同じ景色に出会える幸せは

失ってみて しみじみ分かる

この空間で失われた億万の命の繋がり

微細なものから巨大なものまで

償いようのない命の繋がり

 

土の中から 失われた水の流れから 樹々の梢から 空高くまで・・・

 

みどりの襞が幾重にも連なるのを見る時

谷底を流れる水音

沢にさしのばす樹々の枝のそよぎ

そこに住む命たちが見えるようだ

 

手前にある ずんべりとして命を失った空間が

そのことを意識させるのだ

 

失ったものが何であるかを私たちは時とともに

執拗に思い起こすことになる

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