朝の空気が凛としている from Hioki-san

 

表丹沢の山々に朝の光が紗の衣をふうわり投げかける

手袋をはめていても 指先がじんじんする

その手を幼稚園児のおうに力いっぱい前後に振って

久しぶりの朝の散歩

 

なんだかうれしいよ

おなじみのいつもの山が呼んでるから

すごくうれしいよ

 

今朝は横浜のランドマークが一段と良く見える

空が透けて見える冬枯れの雑木林

つるつるの光る空に小さな雲がわずかにばらまかれ

トビが2羽 つかず離れず緩やかに

樹々の梢をかすめるように流れる

恋の季節の始まりの気配が…

 

 

コゲラがギィと鳴きながら飛んできて

あわただしく幹を登っていく

「あっ、アカゲラ!」 こっちはアカゲラだ

飛んだ!! …回り込んだのでもう見えない

この辺りでは アカゲラに会えるのは真冬

雪の積もった山に食べ物もなくなってきたのだろう

低い笹薮にアオジがかくれんぼしたり

畑の縁でモズが首をかしげているのは見慣れた情景

緑の樹林の向こうに光る碧い海が 今日はこんなにも迫って見える

 

心が和む

 

 

このささやかな幸せを打ち消すように

さっきから聞こえていた低いうなるような音は

だんだん大きく のっぴきならぬ大きさとなり

黄色い土煙を撒き散らしながら

限りなくせわしく走り回る

数台のダンプカーの雄叫びの声

 

アオジの隠れる藪もない

モズの留まる枝もない

そこには命のかけらもない

 

自然を市場原理に委ねてはいけないと教わった

私たちは何を欲しがっていて

どこへ行こうとしているんだろうか……