待ってましたとばかりに色んな花が咲き始めました。
ハナイカダ(ミズキ科)は渋沢丘陵でとても多く見られる落葉低木です。葉っぱの上に花がついているなんて変わっている・・・。
昔の人は「筏に人が乗っている」とユーモラスな見立てをしました。
雄の株と雌の株があって、お客さん(花)の多いほうが雄株、独りぼちのほうが雌株です。
詳しく花のつくりを見たい方はルーペでゆっくり観察してみてください。
もうひとつ今の時期、樹全体が白いブラシのような花でいっぱいになるウワミズザクラ(バラ科・こちらは落葉高木ですが)も渋沢丘陵に多い樹木です。
小さな花が集まってブラシ状になり、その花序の下に葉がついているのが見分けのポイントです。
やや遅れて同じような花をつけるイヌザクラには花序の下の葉はありません。満開のウワミズザクラの大木は刻一刻と若葉を展開させる雑木林の中で、そこだけ白く霞んだように見え、本当に素敵です。
雑木林がさまざまな緑のバリエーションに包まれるこの時期、渡ってきたばかりの夏鳥、キビタキのさえずりが林の中から響き、サンショウクイの声が空から降ってきます。
でも、冬鳥のアオジやツグミもまだ残っているのも居ます。
・・・丘稜という自然の舞台のドラマチックな移り変わりがはっきりと目や耳で捉えられて心を揺さぶるのです。
渋沢丘稜の西端、秦野市千村(ちむら)はヤエザクラの花の塩漬けで全国的に有名です。
ソメイヨシノが終わったこの時期、ヤエザクラの畑では長い梯子を立てて、いっせいにサクラを摘む様子が見られ、この地方の春の風物詩になっています。
このヤエザクラ、昔は摘まれていたけれど今はだれにも摘まれず、畑の縁に一本残って・・・なんだか寂しがっているみたいです。
クリタマバチによる「虫こぶ」が出来てしまったクリの木には、花は咲かず、だからクリが実ることもありません。
クリタマバチは農家にとっても、クリの木にとっても大敵なのです。