2017年6月11日(日)薄曇り 参加者19名
チョウの観察会も2013年6月から始まって今年で6回目を迎えた。大磯丘陵を中心にチョウの観察研究をされている御法川(みのりかわ)さんに講師をお願いしての今回、まずは初めに御法川さんご持参のオオムラサキのオスとメスをみんなでゆっくり観察した。
この時期、オスは葉裏で蛹、終齢幼虫のメスは葉の表でじっとしている。メスの周囲には、エノキの葉が集められ、細かい糸がうっすらと張り巡らされているのが、間近に見て分かった。(写真は下記に)
生物の持つ体内時計。年1化のオオムラサキなどは年多化の種に比べて、非常に精巧な体内時計を持っているという話だ。
オオムラサキが飛ぶには早い季節だが、かつて渋沢丘陵に拡がる広大な雑木林が、オオムラサキにとっては数少ないまとまった繁殖地であったことで、参加者の関心は高い。
アワブキのある谷戸斜面に進むと、葉先のわずかな食痕の特徴から、スミナガシの幼虫がいるらしいとは思うが「これです」と示されるまでわからない。ルーペでやっと確かめる。6ミリくらいの1齢幼虫である。「今年もどうぞ終齢までで育ってください」と祈るような気持ち。
アオバセセリの幼虫が特徴のある住まいをつくり、中を覗くとすでに赤い頭と黒白胴体の幼虫が居て、みんな歓声をあげる。
尾根道に出て峠集落に向けて農道を下り始めると、広がる景色を背景に草原を追いつ追われつ、いろいろなチョウが飛ぶ。雑木林のゼフィルス、ミズイロオナガシジミ(写真)にここで出会う。
昼に近かったので、峠集落からアナザワールドに登ったところで工事区域を見ながらの昼食。
午後は八国見山、栃窪集落のクリ畑を巡り、次は皆んなで工事現場脇の大エノキ(かつて70匹近い越冬幼虫を観察した古木)の下に立ってオオムラサキの蛹は居ないか?と見上げたがわからなかった。
どこの山畑もクリの花が満開で、御法川さんは長く伸ばした竿でクリの枝を叩きながらゼフィルスを始めとするチョウを探した。何年か前、こうして振った竿の先から手品のようにアカシジミ(写真)がこぼれ出たのを覚えているのだが…今日は少ない。
山畑でスジグロシロチョウ雄の地上集団吸水が見られた。こんな風に吸水するのは雄だけらしい。(写真)
栃窪会館でひと休みしたあと、中学校入り口に抜け15時半過ぎに解散した。
【見たチョウの幼虫】 オオムラサキ♂蛹、オオムラサキ♀6齢幼虫、スミナガシ、アオバセセリ、アカタテハ、ジャコウアゲハ
【チョウ成虫】 モンキアゲハ、ジャコウアゲハ、アカボシゴマダラ、アカシジミ、ミズイロオナガシジミ、コミスジ、ダイミョウセセリ、コジャノメ、サトキマダラヒカゲ、モンシロチョウ、モンキチョウ、スジグロシロチョウ、ヤマトシジミ、ルリシジミ など
【鳥】 この日はホトトギスがスリムな姿と鋭い声で丘稜の空を鳴き渡る姿を全員でしっかり眺め、心に刻んだ。その他、キビタキ、サンショウクイ、ヤブサメ、ツバメ、アオゲラ など
【植物】 クリの花満開、アブラギリ盛りすぎ、ドクウツギは若い実