八月が往く
八月が往く
懐かしい見慣れた花々が
季節の巡りに合わせて
今年も咲いた アリガトウ
いつものところにいつもの顔で
ああ 今年もここに咲いてくれた
土手の斜面にヒヨドリバナが
アサギマダラのおとずれを待って…
林の下にはサジガンクビソウ
咲いたのやら まだ咲かぬのやら
ひっそりとうつむいて…
これまた、ものしずかなクロヒカゲ
わずかな気配にも敏感に 陰から陰へと渡っていく
山道にハイイロチョッキリの切り落としたコナラのドングリ
この小さな産卵痕は いのちの確かなつながりを示している
コマツナギ、ヤブラン、ミズヒキ、アキカラマツやツリガネニンジン
みんなみんな、誰もが知っている 里山の花だ
フジカンゾウ、オトコエシ、トキリマメ
みんなみんな、誰もが懐かしがる里山の花だ
(写真はアキカラマツ)
一週間前 私たちは
工事のための行き止まり地点まで行った
そしたらどうだ 進入禁止の柵がさらに1mばかり高くなっていた
その先には赤茶色の鉄板のような乾いた地面が広がっていて
切り開かれた土手は金網でおおわれているのがチラッと見えた
あそこでは花は咲かない
里山の花は咲かない クロヒカゲも飛ばない
だから魂が癒やされることもない