オオムラサキを中心とする観察会 from-Hioki-san

7月8日 晴れ 〜チョウの研究者 御法川直樹氏を囲んで〜

photo by Ueda-san,Hioki-san

この日はいつもの「歩きたい」メンバーに加えて丹沢で保全活動に励むブナ党のメンバー、チョウ類保全協会の親子連れや大学生など若いメンバー総勢26人で 隣接する大井町篠窪まで足を延ばした。

毎年12月末にオオムラサキ越冬幼虫の数の調査が八国見山を中心とする広範な地域でエノキと越冬幼虫の数を地図に落としながら行われている。
これは 霊園建設の計画が明らかになった2012年からチョウ類保全協会で中心活動をされている中村康弘さんと今は亡き高桑正敏先生が企画され今に続いているものだ。
今日の参加者の多くは毎年、12月の調査に参加された方達でもある。

 

霊園工事は2014年12月着工 2018年6月30日竣工。
この場所を中心とする広大な雑木林は、森林性のチョウ・オオムラサキのコアとなる産地
また、急峻な地形はキノコを食べるたくさんの希少な甲虫や生き物を養い丹沢山地と大磯丘陵を繋ぐネックとなる重要な部分であった。

さて、観察会は美麗なチョウで人気のアオバセセリ、スミナガシの食樹アワブキ。
そのアワブキが沢沿いに枝をのばす谷戸から忍者道と呼ばれる雑木林を尾根に抜けて雑木林と畑の続く尾根道を南西に進む。

今年のオオムラサキの発生は早くて一足先に成虫となった♂チョウが。食樹エノキの樹冠や樹液の出るクヌギの樹冠で休んでいたり、テリトリを争って追尾するのをオオムラサキが好む若緑色の大きな捕虫網をふって飛ばして、その存在を確認するのだ。
 
昼は篠窪・富士見塚で大エノキを見ながら食後、その樹冠を素早く飛ぶオオムラサキを望見。
オオムラサキは高いところを鳥のように素早く飛ぶので倍率の高い望遠鏡必携である。

 

午後、ヒメヒマワリが一面の畑脇を抜けて山腹の斜面に生える大クヌギで、ほとんど目のまえと云ってよい見やすい位置で素早く飛ぶオオムラサキを何頭もしっかり見る事が出来た。チョウというよりちいさな鳥が素早く上空を飛んだというような印象である。

 

いまだに目の奥にクヌギの緑、青い空をバックに
♂オオムラサキが,表羽根の紫と裏羽根の金茶色をすばやくはばたかせて、飛びかうさまが焼き付いている。
クヌギの樹液に集まるオオムラサキは美しいが
いま、樹冠を飛ぶ♂のオオムラサキは俊敏とも勇猛ともおもえた。
命を繋ぐために、今あるおのが命を精いっぱい躍動させて…。


この後 ♀オオムラサキが羽化してくるのだが、どんなドラマが展開されるのか・・・日々 緑の中をさまよいたくなる芳醇な里山の自然であった。