八国見山南面のいま from Hioki-san

渋沢丘陵・八国見山周辺は大磯丘陵の中でも最大の雑木林に覆われ中村川の源流となる沢山の沢がその急峻な地形の底を流れ、林内の湿度が良好に保たれている。

 

秦野盆地の西を縁取る形で丹沢山地とつながるその位置は丹沢の山地的要素を丘稜全体に広げる大事な役割を果たしている。

この地理的、地形的要因が多くの希少生物、絶滅危惧種などの存在を守ってきた。

 

(写真は工事着工直後のまだ谷が完全に崩される前、八国見山から撮影したもの。2016年5月)

 

1988〜1991年にかけて神奈川県が調査した「神奈川県地域環境評価書」によれば八国見山周辺の環境は

 

「複雑な地形変化を伴う中村川上流部の丘稜で、極めて良好な自然緑地の形態を示すものと評価される」

 

また「哺乳類や猛禽類など、生態的位置の高い動物相が安定して生息できる数少ない地域である」ともある。

 

(八国見山・電波塔側から見る。遠景の中央部には霊園管理棟、その向こうの煙は大井町柳美化センター)

 

八国見山から南に伸びる細い山道は雑木林の間をゆるく登り下りしながら、大井町・竹山の山すそをめぐって下っていく。

 

ハイカーはもちろん、サイクリングの一団も、みどりの風と鳥の声に身も心もゆだねながら下って行った。

生き物にとって、また我々、人という生き物にとってもまことに貴重で大切な場所であったが・・・

 

(南から見たNTT電波塔、この背後が八国見山、右端に段差激しい急な階段が見える)

 

2012年、20ヘクタール(東京ドーム4.5倍)に1万5000区画の霊園開発計画が明らかになり2014年10月開発許可が下り、同年12月着工。

 

2018年7月竣工。

八国見山南面のいま・・・これが現在の姿である。

 

(元々は中村川の源流域だったところ、20ヘクタール…尾根と沢が削られ埋められ、まっ平らだ)(一番最初の写真と比べると、どれもが同じ場所とは思えない)